2026/08/13

2062年の男性激減世界をすでに描いていた作品たち


2062年から来た男は、2010年11月21日、未来の男女についてかなり異様なことを語っている。

男1女4の割合。違法だが2人~5人と結婚している男が数多く存在している。

さらに翌22日、

人口の割合が男1:女4なのは、戦争の影響なのか? それとも出生率の問題なのか?

と質問されると、

20年以内に理解できるだろう。

とだけ答えた。

そして、女性が男性と結婚できなければ子供を作れないのか、という質問には、

男性がいなくとも受精し子供を作る。

と回答している。

つまり2062年の日本は、

  • 男性1人に対して女性4人
  • 一人の男性が複数の女性と結婚している例が多い
  • 男性がいなくても子供を作ることができる
  • なぜ男性がこれほど少なくなったのかは、2030年頃までには理解できる

という社会なのである。

この話が知られるようになった初期から、ネット上ではしばしば、

「それ、『大奥』のパクリじゃないの?」

と言われた。

それも無理はない。

『大奥』の連載開始は2004年。2062氏が2ちゃんねるに現れた2010年より6年も前である。

しかも『大奥』では、男性を選択的に襲う疫病によって男性人口が激減し、最終的に男女比は男1:女4になる。

2062氏が語った2062年の男女比も、まったく同じ男1:女4である。

これだけ見れば、「2062氏が『大奥』の設定を借りただけではないか」と考えるのは当然だろう。

しかし今回あらためて調べてみると、男性が激減した未来社会を描いた作品は『大奥』だけではなかった。

男性だけを襲う感染症、男性の希少化、精子バンク、男性なしでの生殖、女性が圧倒的多数となった社会――。

2062年の世界を構成する要素によく似た作品が、小説、漫画、映画、ドラマの中に驚くほど数多く存在していた。

そこで今回は、「大奥のパクリかどうか」という話はいったん横に置いて、2062氏が伝えた男1:女4の未来と、これらの作品が描いてきた男性激減社会を並べてみることにした。


漫画

『大奥』 よしながふみ 2004年~

まず、何といってもこれである。

江戸時代に「赤面疱瘡」と呼ばれる奇病が流行する。

この病気は若い男性を中心に襲い、男子人口を急激に減少させる。

そして男性人口は女性のおよそ4分の1になる。

男1:女4

である。

2062氏が語った男女比そのものである。

男性が不足した結果、農業、商業、家督相続などを女性が担うようになり、ついには将軍も女性になる。

一方、少数になった男性は生殖能力を持つ希少な存在となる。

『大奥』が2062氏の初期から繰り返し引き合いに出されたのも当然である。

単に「男女逆転」というだけではない。

男性を襲う感染症 → 男性激減 → 男1:女4 → 男性の生殖価値が上昇

というところまで重なっている。


『Y: The Last Man』 Brian K. Vaughan / Pia Guerra 2002年~

ある瞬間、Y染色体を持つ哺乳類がほぼ一斉に死亡する。

人間の男性もほぼ全滅。 生き残ったのは青年ヨリックと雄のサルだけである。

世界人口のほぼ半数が突然消え、政府、軍、交通、物流などが大混乱する。

その後の世界を運営するのは当然ながら女性である。

そして唯一に近い男性となったヨリックは、生殖という意味でも世界でもっとも希少な人間になる。


『終末のハーレム』 LINK・宵野コタロー 2016年~

原因はそのものずばり、

MKウイルス=Male Killer Virus

である。

男性の99.9%が死亡し、地球上には約50億人の女性と、ごく少数の男性だけが残される。

残った男性には、人類を存続させるため大量の女性との生殖が求められる。

2062氏の

違法だが2人~5人と結婚している男が数多く存在している。

という世界を、さらに極端にしたような設定である。


小説

『A World of Women』 J. D. Beresford 1913年

この種の物語は、なんと100年以上前から存在する。

疫病によって男性の大部分が死亡。 従来の社会は崩壊し、生き残った女性たちが新しい共同体を作っていく。

「男性の大量死後、女性が社会を再建する」という基本型を1913年にすでに描いていた。


『Consider Her Ways』 John Wyndham 1956年

科学者が作り出したウイルスによって男性が全滅する。

その約150年後には、女性だけで成立する独特の社会制度が完成している。

感染症によって男性が失われ、その状態が何世代も続いた世界を描いた古典的作品である。


『When It Changed』 Joanna Russ 1972年

惑星Whileawayでは、疫病によって男性が全滅してから何世代も経過している。

女性たちは男性を必要としない生殖技術によって子供を作り、社会を存続させている。

2062氏の

男性がいなくとも受精し子供を作る。

という未来にかなり近い。


『Who Needs Men?』 Edmund Cooper 1972年

女性がクローンや単為生殖によって子供を作れる未来。

男性はもはや人類の生殖に不可欠な存在ではなくなり、わずかな男性だけが残っている。

タイトルそのものが「男なんて必要?」という世界である。


『The Female Man』 Joanna Russ 1975年

複数の平行世界を扱った作品。

その一つであるWhileawayでは、疫病によって男性が消滅してから長い年月が経過し、女性だけの社会が成立している。


『Houston, Houston, Do You Read?』 James Tiptree Jr. 1976年

男性宇宙飛行士たちが遭遇した未来の地球には男性がいない。

疫病によって男性が絶滅し、生き残った女性たちはクローン技術によって人類を存続させている。


『The Y Chromosome』 Leona Gom 1990年

ほぼ女性だけになった未来社会を描く。

特に興味深いのが生殖方法である。

二つの卵子を利用する「ovafusion」と呼ばれる技術によって、男性なしでも子供を作ることができる。

2062氏の発言をそのまま技術化したような世界である。


『Ammonite』 Nicola Griffith 1992年

ある惑星で、ウイルスが男性を死亡させる。

残った女性たちは何世代にもわたり、女性だけで社会を維持している。

男性なしでどうやって生殖を続けているのかが物語上の重要な謎になる。


『Califia's Daughters』 Leigh Richards 2004年

戦争と感染症によって男性が極端に少なくなった近未来。

男性は絶滅しているわけではない。

そこが2062年に近い。

社会の大部分を女性が運営し、残った男性は非常に価値の高い希少な存在として扱われる。


『2060: A Love Story in a Utopian Future』 Janette Rainwater 2007年

今回調べた作品の中でも、とりわけ気になる一冊である。

タイトルの通り、舞台は

2060年

である。

この世界では、Y染色体を攻撃するウイルスによって男性人口が壊滅している。

女性たちは約50年間、精子バンクを厳重に管理しながら人類を存続させてきた。

その後、Y染色体を遺伝学的に修正する技術が開発され、再び男児を生存させられるようになる。

まとめると、

  • 2060年
  • Y染色体を攻撃するウイルス
  • 男性人口の壊滅
  • 女性中心社会
  • 精子バンクによる人類存続
  • 希少な男性の復活

という物語である。

2062氏の未来と完全に同じではないが、年代まで含めて非常に近い世界観である。


『Who Runs the World?』 Virginia Bergin 2017年

ウイルスによって男性のほとんどが死亡してから約60年後。

女性だけで運営される社会がすでに当たり前になっている。

主人公の少女は、男性そのものを絶滅した存在だと思って育っている。


『Afterland』 Lauren Beukes 2020年

「Manfall」と呼ばれるパンデミックによって男性の99%が死亡する。

残った男性や男児は非常に重要な「生殖資源」となる。

主人公の女性は、生き残った息子を守るため、女の子に変装させて逃亡する。


『The End of Men』 Christina Sweeney-Baird 2021年

2025年、スコットランドから新しい感染症が始まる。

女性はほとんど影響を受けない一方、男性では非常に高い致死率を示す。

パンデミックによる男性人口の激減によって、家族、仕事、医療、政治、社会制度がどう変化するのかを描いている。


『Moths』 Jane Hennigan 2023年

突然変異した蛾が生み出す毒性物質によって、男性と男児だけが死亡したり激しい精神症状を起こしたりする。

それから40年後。

世界は女性によって運営され、生き残った男性は専用施設で保護されている。


『Toxxic』 Jane Hennigan 2024年

『Moths』の続編。

男性を守るためのワクチンが開発され、男性が再び社会へ戻り始める。

ところが社会はすでに何十年間も「男がほとんどいない」ことを前提に出来上がっている。

男性激減後の社会が完成した、そのさらに先を描いている。


映画

『The Last Man on Earth』 1924年

男性だけを襲う疫病を描いた映画は、すでに100年前に存在していた。

「Masculitis」という病気によって成人男性がほぼ全滅。

女性ばかりになった世界で、一人の生き残った男性が発見される。


『It's Great to Be Alive』 1933年

『The Last Man on Earth』をもとにした作品。

やはり男性をほぼ絶滅させる疫病が発生し、生き残った男性が極端な希少者となる。


『The Last Man on Planet Earth』 1999年

こちらでは感染症ではなく、生物兵器「Y-bomb」によって男性の97%が死亡する。

その後は女性による社会が成立。

さらに遺伝子工学によって新しい男性を作り出す。

男性大量死、生殖技術、女性社会、男性の再導入という流れが一つの作品に入っている。


実写映画『大奥』 2010年

よしながふみの漫画は、2062氏が現れた2010年に実写映画化されている。

まさにその年、日本では「男性が女性の4分の1しかいない日本」が映画館で上映されていたことになる。


テレビドラマ・テレビ作品

『The Outer Limits』「Lithia」 1998年

戦争後、ウイルスによって男性がいなくなった世界。

女性だけの共同体が作られ、凍結保存された精子によって子供を作っている。

ただし男性として生まれた子供は病気によって生き残ることができない。

「男性がいなくても受精できる」という点で、2062世界に非常に近い。


『Y: The Last Man』 2021年

同名コミックのテレビドラマ版。

男性のほぼ全員が突然死亡した直後、政府、インフラ、物流、社会秩序がどう変わるのかを実写で描く。


『Creamerie』 2021~2023年

ウイルスによって男性のほぼ全員が死亡した近未来。

女性たちは新しい制度を作り、男性がいないことを前提とした社会を構築している。

ところが、絶滅したはずの男性が実は生き残っていたことが判明する。


『大奥』アニメ版 2023年

Netflixによるアニメ化。

男性を襲う赤面疱瘡によって男女比が大きく崩れ、女性が社会の中心を担うようになる過程が改めて映像化された。



「大奥のパクリ」と言われるほど似ていた

こうして並べると、2062氏が最初に注目されたころ「大奥のパクリ」と言われた理由はよくわかる。

『大奥』では、

男性を襲う疫病

男性人口激減

男1:女4

男性の生殖価値が上昇

となる。

一方、2062氏が伝えた2062年では、

男1:女4

一人の男性が2~5人の女性と結婚する例が多い

男性がいなくても受精可能

となっている。

たしかに似ている。

しかし今回調べてみると、似ているのは『大奥』だけではなかった。

100年以上前の小説から、漫画、映画、テレビドラマ、そして2020年代の小説まで、

  • 男性だけを襲う感染症
  • 男性人口の大量減少
  • 女性が人口の圧倒的多数になる
  • 少数の男性が希少な存在になる
  • 一人の男性が多数の女性の生殖を担う
  • 精子バンクによって人類を存続させる
  • 男性なしでも生殖できるようになる
  • 男性激減後の社会が数十年間続く

といった世界が、何度も描かれていた。

2062年は「女性だけの世界」ではない

ここで一つ注意しておきたい。

2062氏の世界では男性は絶滅していない。

男1:女4

である。

この数字はむしろ絶妙である。

男性が完全に消滅してしまえば、生殖は全面的に人工技術へ移行する。

しかし1:4なら男性はまだ普通に社会の中にいる。 同時に、結婚できる男女の人数はまったく釣り合わない。

だから2062氏は、

違法だが2人~5人と結婚している男が数多く存在している。

と語ったのであろう。

そして男性が足りなくても、

男性がいなくとも受精し子供を作る。

ことができる。

完全な女性社会ではない。

男性が極端な少数派になったまま、人類がそれに適応して成立している社会。

それが2062氏の伝えた未来なのである。

そして、なぜ男1:女4になったのか

この質問に対して、2062氏は原因を教えなかった。

20年以内に理解できるだろう。

2010年から20年以内。

つまり2030年までである。

2062年の男女比を作り出す原因が何なのかは、まだ明かされていない。

しかし今回紹介した作品群を見ると、

「男性だけを強く襲う感染症によって男女比が突然崩れる」

という未来が、フィクションの中では決して珍しいものではないことがわかる。

『大奥』を「2062のパクリ元」と笑って終わらせるより、これらの作品を並べて眺めたほうが面白い。

2062氏が伝えた男1:女4の世界が、いったいどのような社会なのか。

人類は小説、漫画、映画、ドラマの中で、すでに何度もその世界を描いているのである。




思いつきを

UTADA Time Traveling


UTADAは健在なのか。驚いた。
メロディーそして歌声ともに平成の名曲だ。(2010/11/16)

タイムマシンは未来タイプ(VCX5000)が早く開発される。
これは予想とかけ離れた姿だ。今でいう電車?に似て非常に細長い。(2010/11/14)